耳が聞こえにくい
患者
77歳 女性 2023年5月初診
症状
耳管開放症と診断され、耳が聞こえにくい(左>右)。
常に音が反響したように聞こえる。全身倦怠感、不眠傾向。
耳鼻科で加味帰脾湯(かみきひとう)を処方。他にも色々と試したが改善しない。
耳管開放症とは
耳管開放症とは、通常であれば閉じている耳管が、何らかの原因で開いたままになってしまう状態です。
耳管は外耳道と鼓室の圧を等しく調整する働きや分泌物の排泄機能がありますが、開いたままになってしまうと耳がふさがったような感じ(耳閉感)がしたり、自分の声や呼吸音が耳に響いたり(自声強聴、自己呼吸音聴取)する症状があります。
本患者様も耳の聞こえにくさ、音の反響などにお悩みでした。
診断と治療経過
お身体の状態より、肝鬱と脾虚の診断。
手太陽小腸経の後渓への置鍼、その後、足の太陰脾経公孫への置鍼を追加いたしました。
後渓は八脈交会穴のひとつで、督脈(背部正中の経絡)にも通じています。
考察
治療後、症状が改善、耳管機能検査の結果からも経過が良くなっていることが分かりました。
耳管機能検査は、正常波形であればきれいな山のかたちになりますが、本患者様の治療開始前の検査結果(3/30)では、波形がきれいな山にはならず、その後も小さな山が続いています。
これは耳管機能が正常ではなく、音の響きなどが出ている状態となります。
複数回の治療後の検査結果(7/31)では、波形がきれいな山となり、音の響きなどが改善されています。
患者様ご自身も症状が改善され、また、夜もよく眠れるようになったと喜んでいただきました。